新しい働き方名鑑《Vivid UP Life》Vol.1
人生のピンチを好きに救われて。未知の仕事・働き方へチャレンジ
Vivid up Life ~ボクらの働き方~
「Vivid up Life」とは「生き生きとした人生」という意味で、転職や独立など働き方を通して人生を前向きに変えた人にスポットを当てて、人生ストーリーや好転したきっかけを聞いて、見ていただいた方に前向きに将来を歩んでもらいたいというインタビュー企画です。
フリーランスイラストレーター
hachimitsu
大阪在住|平成7年生まれ(取材時25歳)
カラフルでポップな絵柄が特徴。
悪環境下での職務に疲れて仕事に行けない状態になり、退職後に未経験でイラストレーターに転職。令和初日からSNS(Twitter・Instagram)で毎日イラストの投稿をして、ミュージックビデオの制作やアパレルブランドのコラボなど仕事を獲得。小さな努力を積み重ねて逆境の状況を乗り越えたフリーランスのイラストレーター。
Twitter:@888hcmt
Instagram:@hachimitsu_eight
note:https://note.com/hachimitsu888
hachimitsuの人生を救った2つの出来事
-まずはイラストレーターになったきっかけを教えて下さい。
僕は高校を卒業したあと、工場に就職したんですけど肉体労働で残業が月100時間を超えたり、薬品を使う仕事で体に危険を感じたので辞めました。
そのあと不動産の営業をしました。この仕事が本当に辛くて。上司から罵詈雑言を浴びて、飲みに連れて行かれてそこでも説教の連続でした。1年ほど勤めたんですが、精神状態が追い詰められて「明日仕事ができない、会社に行けない」となって会社を辞めました。
暗い話になりますが、若い人が自ら命を絶ってしまうというニュースも多いですけど、僕の場合は辛いときに環境やマインドを切り替えるきっかけがあったのが良かったと思いますね。
-そのきっかけって何ですか?
ふたつあるんですけど、まずひとつは職業訓練。
不動産の仕事を辞めて「この先どうしよう…」と悩んでいたときに、WEBデザインのスキルが学べる職業訓練のチラシをハローワークで見つけたんです。
その職業訓練を受講したんですけど、そのカリキュラムの中でAdobe Illustrator(アドビ イラストレーター)に触る機会があったんです。『デジタルで絵を描ける』というが自分には革新的で新鮮でした!
それまでは紙とペンでアナログで少し絵を描く程度だったんですけど、これを使えば僕もイラストレーターになるんじゃないかな、と思ったのが最初にイラストレーターを志すきっかけですね。
ふたつめは、イラストレーターとしてフリーランスで活動されている人を知ったこと。
職業訓練に行っているタイミングで「隙あらばゲームがしたくてイラストレーターになりました」というブログをTwitterで見つけました。そのブログにはイラストレーターのカワグチマサミさんがなぜイラストレーターになったのかが書かれていて面白いなと思って読んでいました。
その記事にイラストレーターの高田ゲンキさんという人のことが書かれていて、「どんな人なんだろう?」と思って調べてみました。高田ゲンキさんは美術系の学校を出ているわけでもなく、コネもツテもなしにイラストレーターとして独立されて、今ベルリンに在住されていている人だったんです。
僕はその時、フリーランスでイラストレーターという働き方をしている人を全然知らなくて、そんな働き方やそういう人がいるんだと衝撃的でした。カワグチマサミさんや高田ゲンキさんを知って、自分もイラストレーターになりたいと思いました。
- フリーランスやイラストレーターを知ったこと
- 職業訓練でAdobe Illustratorと出会ったこと
このふたつのタイミングが重なったのが、「フリーランスイラストレーターになろう!」と決断した瞬間でした。
それから毎日のように写真素材サイトに好きなアニメや漫画をモチーフにしたイラストを投稿しました。1年半ほどしてイラストが溜まったので、それをポートフォリオとしてまとめて出版社さんに見せたところ仕事をいただけました。それがイラストレーターとして初めての仕事で、今から2年ほど前のことです。
仕事獲得へと導いたオリジナルスタイル
-それから順風満帆に仕事が取れるイラストレーターになれたんですか?
今でも順風満帆なのか分からないんですけど(笑)
最初の頃は絵柄が決まっていなくて『幅広く何でも描けます』としていたんです。それで多少お仕事をいただいていたんですけど、自分が思っているよりもそんなに報酬が高くなくて。いろんな所に営業を掛けたんですけど、思うように仕事が取れず悩んでいました。
その時に、知り合いの紹介でクリエイターが集まるコミュニティを知ったんです。相談だけでも、と思い行きました。そこでいろんなクリエイターさんの話を聞いたり、自分の話を聞いてもらいました。それをきっかけに自己分析を繰り返した結果、90年代風の絵柄が得意だと気づいたんです。それまで本名で活動していたんですがペンネーム『hachimitsu』に変えて、自分のスタイルが確立されました。
-そこからどんな活動をしたんですか?
ちょうど令和が始まる5月1日にTwitter、Instagramのアカウントを作りました。そこから今まで600日近く、毎日イラストを描き続けているんですけど。最初は毎日イラストをSNSにアップしようと思っていなくて、結果的に毎日イラストをアップすることになりました。なんとなく毎日続いていて、今日に至るって感じなんですよね。
僕は美術係の学校出ているわけでもないし、異業種からイラストレーターになりました。
学校などに行って目指している人と比べるとブランクもあるし、自力もないと認識しているので、とりあえず毎日描いてうまくなろうと。どうせ描くならSNSに上げようと思って上げ続けたら毎日投稿になっていて。
描いているうちに絵がうまくなったんですけど、それよりも毎日描くことで思ったよりたくさんの人の目に止まるんだと感じました。たくさんの人の目に止まったおかげで、いろんな人から仕事の声をかけてもらったので。毎日でなくとも、自分の作品が人の目に触れる機会を作るのは大事ですね。
オンライン化でも負けない仕事のやり方
-新型コロナウィルス(以下、コロナ)で大変な社会情勢になりましたが、hachimitsuくんは仕事への影響はいかがでしたか?
コロナが蔓延した2020年はミュージックビデオの制作やアパレルブランドのコラボなど、SNSの毎日投稿を見ていただいた方からお仕事の依頼をいただくことが多かったです。打ち合わせなど仕事のやり取りも、ほとんどオンラインでしていました。
新しくご依頼いただいたお客さんも増えたのでコロナによって大きな影響はなかったのですが、今まで実際にお会いして打ち合わせなど出来ていたものが、すべてオンラインになって仕事のスタイルが変わったことは辛かったですね。以前より時間がかかるなど、制作面では影響があったので。
-仕事がオンライン化になったことで仕事がやり辛くなった人はたくさんいるかと思うのですが、hachimitsuくんはオンライン化で仕事をするうえで気をつけていること、大事にしていることはなんですか?
すごく基本的なことなんですけど、報連相、報告・連絡をしっかりすることですね。打ち合わせもマメにしていますね。あと、これも基本的なことなのですが絶対に納期を守ることです。
なぜか「納期を守らない」「締め切りギリギリまで連絡がない」とか、『フリーランスクリエイターはルーズ』というイメージを持っている人が多いんですよね。僕の周りのクリエイターさんには、そんなルーズな人はいないですし、そんなイメージを払拭したいなと思っています。
-「hachimitsuくんは作業が早い」と周りのクリエイターさんから聞くのですが、制作するときに工夫していることあるんですか?
自分では周りより早いか分からないんですけど、イメージが思いついたら早く描きますね。作ったものを早く見せたくなるんですよ。2020年にクリエイター祭りというイベントで素材提供・アートワークを担当したんですけど、その時は半分趣味のような感じで描きたいから描くという感じで制作していました。
制作する前に自分で締切日時を設定するんですけど、場合によっては設定した締切日時より1週間前にできてしまうなど、だいたい早くできますね。制作したものを早くお客さんに見てもらって、フィードバックをもらったものを修正した方が早く良いものが出来上がると思っているので、なるべく作業は早くすることは意識していますね。
苦しい状況を救う自分の好きなものを見つけよう!
僕はサラリーマンのときからSNSで好きな漫画家さんやイラストレーターさんをフォローしていたんですが、大変な状況の時にその人たちがSNSに上げていた作品を見ることで、『何とか明日もまた頑張ろう』と思えました。自分のイラストを見た人も、そんな風に感じてもらえれば嬉しいですね。
今気軽にいい作品や映像など見れる時代ですよね。YouTubeだったりTikTok、Pinterest、何でも良いんですけど、好きなものを近くに置いておくことは大事かなと思います。
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