新しい働き方名鑑《Vivid UP Life》Vol.5
Vivid up Life ~ボクらの働き方~
《Vivid UP Life》は「生き生きとした人生」を意味し、転職や独立などを通して働き方を前向きに変えた人々に焦点を当て、その人生ストーリーや好転のきっかけを探るインタビュー企画です。読者の皆さんが前向きに未来を歩むための一助となることを目指しています。
Web/PRライター
フルカワカナコ
大阪で活動中の『言葉をデザインする』フリーランスライター。
小さい頃からゲームが大好きで、とあるゲームメディアの運営会社でアルバイトを始めたことがキッカケで、ライティングの楽しさに目覚める。
元々デザイナーになりたくて、学んだデザイン知識や、接客業経験を活かして、ライティングを中心に記事の執筆、広報サポートなどコンテンツ制作の仕事をしています。
活動理念は「Thing is Utopia」(ことばで理想の世界をつくる)
「文章を書く」ことは、ただ仕事や業務をするためだけではなく、自分の気持ちを整理したり、誰かに何かを伝えるためのコミュニケーションです。
ライターに限らず、もっと多くの糸が自分の気持ちをことばで伝えられる、誰もが自分らしさを発信できる、やさしい世界をつくりたいと日々活動しています。
星のカービィが大好きです。
幼い頃からゲームが好きで、ゲームクリエイターに憧れて芸術大学への進学を目指すも、現役合格は叶わず浪人。さらに、浪人中に事故に見舞われ、学業と並行してアルバイトや就職活動に励むも、現実は厳しく、学歴コンプレックスを抱えていたフルカワさん。
そんなフルカワさんが、どのようにして現在のフリーランスライターという働き方にたどり着いたのか? 苦しい時期を乗り越え、前向きになるための習慣とは? フルカワさんの人生を深く掘り下げていきましょう。
フルカワさんの働き方遍歴
- 2009年
事故に見舞われて手術・入院。美術大学2校に受験合格する、入学を断念。 - 2011年
諦めきれず、大阪芸術大学の通信教育部でデザインを学ぶ。 - 2011年〜2015年
接客業のアルバイトを転々とした後、ゲーム系メディア会社に就職。 - 2016年
芸術大学を中退。
正社員で2社から内定を得るも、1社は辞退し、もう1社は2週間で退職。スクールでWEBデザインを学ぶ。 - 2017年
アルバイトをしながら、ライターとしてフリーランスとして活動を開始。
(パラレルキャリア) - 2018年〜現在
アルバイトを辞めて、専業フリーランスになる。
フルカワさんが経験した人生の好転ポイント
- 現役合格は失敗するも、2年後に芸術大学の通信教育学部に入学。
- 大学を辞めて、転職活動の途中でスクール「クリエイターズ ファクトリー」でWEBデザインを学ぶ。
- フリーランスやクリエイターがビジネス知識を学べる有料コミュニティに入会して、フリーランスへの道を邁進。
浪人、事故、入院…大きな挫折を乗り越えて、夢にチャレンジ!
普通科の高校に通い、吹奏楽部だったフルカワさんが、なぜ大阪芸術大学でデザインを学ぼうと思ったのでしょうか?
苦節となった高校卒業から大学進学までのストーリー。
−どうして美術大学に入学しようと思ったんですか?
中学と高校ではずっと吹奏楽部に所属しており、美術やデザインに関することはまったくやっていませんでした。
子供の頃からゲームが好きだったので、高校生の時にゲーム制作会社に勤めたい、ゲームに関する仕事をしたいと思うようになりました。それで就職のためにデザインが学べる美術大学への進学を志しました。
それから1年間、浪人生活を送りました。さらに不幸なことに、浪人生活中に顔面を骨折するという大事故に遭い、手術をして入院することに。退院後に大学の試験を受けて、関西にある私立の芸術大学2校に合格しました。
それから1年間、浪人生活を送りました。さらに不幸なことに、浪人生活中に顔面を骨折するという大事故に遭い、手術をして入院することに。退院後に大学の試験を受けて、関西にある私立の芸術大学2校に合格しました。
大学に合格できたことは嬉しかったのですが、大学入学のために貯めていた自分の預金や両親の貯蓄が手術や入院の費用に充てられていたため、進学後のことを考えると入学金や授業料など金銭的に厳しいと思い、その時は大学への進学を諦めました。
−浪人生活中に顔面を骨折するほどの大事故、大学進学もできず、とは大変でしたね。
そうですね。
それから1年ほど経って「やっぱり諦めたくないな」とデザインを勉強したいという気持ちが再燃して、アルバイトをしながら大阪芸術大学の通信教育学部でデザインを学ぶことにしました。
デザイナー志望から一転、「思っていたのと違う…」からハマるライティング
浪人や大変な事故を経て、ようやく美術大学に入学できたフルカワさん。デザインを勉強していたはずが、急にライターへと道が開けていきます。ライターへと進むきっかけとは?
−大学に通われていた時は、どのような生活をしていましたか?
大学は通信制でしたが、卒業には通学の四年制と変わらないくらいの単位数が必要でした。カリキュラムの中には、学校に行かないと単位が取得できない授業があったり、夏には集中講座があったりと、実際に大学へ通うことが多かったですね。
大学に入って3年くらいは接客業のアルバイトをしていましたが、今後のキャリアを考えて「デザイン制作ができる会社に勤めたいな」と思い、デザインに携わる仕事を探し始めました。
その時にゲームメディアを運営している会社が、デザイナーを募集していたんですよ。私はゲームが好きですし、基本的なデザインスキルがあればできそうな仕事だったので、すぐに応募しました。
トントン拍子に話が進んで「採用」となったのですが、「フルカワさんは文章が書けそうだし、手が足りてないからライターをやってくれない?」と、デザイナーではなくライターに配属されて。
「あれ? 思っていたのと違う…」と感じながらも、その時には20代半ばだったので、新しいスキルを増やすチャンスだと思ってライターへの配属を受け入れました。大学の授業を受けながら、ライターとして働き始めます。
−その会社はどのような事業をしていて、フルカワさんはどのような業務をしていましたか?
その会社はソーシャルゲームを中心にゲーム系メディアの運営をしていて、新しいゲームが出るたびに新しいメディアを立ち上げて、記事を作っていくというスタイルが当時の主流でした。
私はその会社に3年ほど勤めていて、最初の1年ほどはいわゆるゲームのまとめブログを執筆していました。新しいゲームが出れば、メディアを立ち上げて記事を執筆し、運営していくという業務の連続でしたね。
それを繰り返していくうちに、ライティングがだんだんと楽しくなってきました。
会社の主な収入源はブログに貼ったWeb広告と代理店からの記事広告でした。当時はWeb広告が全盛期で会社の売上が良かったんです。ところが、世間で業界の信頼を揺るがすニュースのあおりを受けて、まとめサイトの運営事業が急激に売上を下げてしまいました。
自社メディアの強化や新しい企画もありましたが、ゲームメディアに関しては縮小する方向に変わっていってしまいます。
頑張っても売上が上がらない状況に従業員が戸惑い、士気が下がってしまいました。
私も将来に不安が出てきて、アルバイト雇用だったこともあり、家庭の事情と将来のことを考えて「ずっとこの会社で働くのは難しいな」と思って転職を決断します。

せっかく入社できた会社だったのに退職となって残念ですね。



ずっと昔からゲームが好きですし、ゲームメディアの運営は楽しかったんですけどね。
大学を辞めて転職活動に集中。Webの世界へ
ゲーム系メディア会社を辞めて、一体どのように活動していくのでしょうか。まだまだ人生のターニングポイントが待っていました。
−ゲームメディアの運営会社を退社されてから、どのように活動されましたか?
大学の授業をまだ受けていました。休学を挟んだこともあり、その時には20代後半に差し掛かっていましたね。デザイン関係の単位は全て取得していたのもあって、就職活動に集中しようと思って大学を辞めました。
前職でやっていたライターの仕事は楽しかったのですが、今度こそはデザインの仕事をしたいなと思い、デザイナーで正社員を募集している会社に絞って就職活動を始めました。
大学での制作物をもとにポートフォリオを作り、就職活動をしながら、就職支援のイベントや交流会に参加するようにしていました。
その中で「Webデザイン」ができる方が就職に有利という情報を得て、社会人向けのWEBデザインスクールの無料相談会にも参加します。
Webデザインを学べば「Webライティング+Webデザイン」で、WEBサイトの制作や運営などWEB全般に携われ、仕事の幅が広がると考えたがきっかけですが、この無料相談会に参加したことが、のちに自分にとって大きなターニングポイントになりました。
−ここで大きなターニングポイントが…気になりますね。その後、就職はどうなりましたか?
未経験からの転職でしたが、2社で正社員の採用が決まったんです。そのうちの1社に入社をしましたが、社風が合わず試用期間で退職しました。
せっかく未経験で正社員が決まっていたのに、退職したことで自信をなくしてしまって。どうしようと悩んでいた時に、社会人向けのWEBデザインスクール「クリエイターズ ファクトリー(以下、CF)」の相談会のことを思い出しました。
そのスクールの代表から「もうダメだ…と思ったら、いつでも連絡してね」という温かい言葉をかけてもらっていて、退職後にその言葉を思い出してスクールに入学しました。
CFは1コース4ヶ月という短い期間で、社会人も多く受講されていて、受講後にWebデザインのスキルを活かして就職・転職されている人も多かったので、就職に焦っていた私にとって魅力的でした。
CFで得たスキルや交友関係が今の仕事に活きているので、このタイミングでWebデザインを学ぼうと決断できたのは良かったですね。
クリエイターズ ファクトリーさん公式サイト


正社員で転職を目指すも、フリーランスへ猛進
デザインを学んで転職活動を続けるも、ひょんな出会いからフリーランスの活動を始めることに。一体どんな出会いがあったのでしょうか。
−就職のためにWEBデザインを学んでスキルアップしようとしたんですね。その後、就職はどうなりましたか?
CFに通っている時に、アルバイトでWEBライティングの仕事に就いていました。CF卒業後、フリーランスやクリエイターがビジネス知識を学べる有料コミュニティに入会します。
その時はフリーランスにまったく興味はなかったのですが、ビジネス知識を習得して「本当に転職を成功させたい!」と意気込んで、コミュニティの活動を糧にして正社員での転職を目指していました。
しばらくアルバイトをしながら就職活動を続けていた時に、ライターを探しているコンサルタントさんをご紹介いただき、業務委託でそのコンサルタントさんの仕事を受託しました。
アルバイトをしながらですが、ここからフリーランスとして仕事をし始めます。まだアルバイトの収入が生活の基盤で、フリーランスの仕事だけでは食べていける状態ではありませんでした。
コンサルタントさんの仕事を一生懸命やっていくうちに信頼していただき、「アルバイトの金額払うから、もっとうちの仕事やってよ」と、フリーランスの仕事量と収入が増えました。
この頃は転職活動に疲れてあまりしなくなっていたし、「フリーランスになるチャンスだ!」とアルバイトを辞めて専業フリーランスとなりました。今では通っていたCFの代表さんや、他の方からもライティングの仕事をご依頼いただいています。
−今ではWEBライティングを中心にたくさんの仕事をされていますが、フルカワさんが仕事で喜びを感じることは何ですか?
私が書いた記事で喜んでもらえることが嬉しいですね。依頼主さんはもちろん、私の書いた記事を読んだ人が「助かった!」「ためになりました!」「記事を読んで困ったことが解決しました」と言ってもらえると、とても嬉しくなります。
ゲーム系メディアの運営会社で働いていた時は閲覧者から直接感想を聞ける機会が少なかったのですが、記事の閲覧数や記事に貼った広告の売り上げがその感想の代わりになっていました。
社内で私が書いた記事が月間売上1番になったことがあるんです。そういう結果が伴うと、閲覧者のためになった記事を書けているんだと嬉しくなります。この時に感じた嬉しさや「ライティングが楽しい!」という気持ちが今も続いているのでしょうね。
楽しく学べるライティング学習講座から夢の実現へ
フリーランスとしての道を歩まれたフルカワさん。これからどのような道を歩まれるのでしょうか。今後の展望を聞いてみました。
−フルカワさんが描く将来の展望とは?
『ブロでん!』というライティング学習講座を開催しているのですが、このサービスをもっと広げていきたいですね。
この『ブロでん!』が活動的になれば、出会いや可能性が広がっていくと思います。『ブロでん!』を通して、ゲームを作っている人と出会って一緒に仕事や面白いことができれば最高ですね。最近は原点回帰して、そろそろ思い描いていた夢を追うべきなのかなと考えるようになりました。
あと、仕事ではなく趣味として、シナリオライターもしてみたいです。仕事としてやるべきことがたくさんあるので、仕事と趣味のバランスをどのように取っていくのかが、今後の課題かなと思っています。
−『ブロでん!』とはどんな講座なのですか?
『ブロでん!』とは「ゲームみたいに楽しく文章の書き方を学ぶ」をコンセプトにしたRPG型のライティング学習講座です。
一方的に私が教えるのではなく、ワークショップや受講者さんとのディスカッションが多い講座です。私は受講者さんの話を直接聞けるのは楽しいですし、ライター育成の教材としても取引先では使っています。今後は教材としても、多くの方に使っていただける機会を増やしていきたいです。
『ブロでん!』公式サイト


ハッピーを積み重ねていこう!もっと楽しくて優しい世界へ
−今回、ご自身でフリーランスになるまでの経緯を振り返っていかがでしたか?
美術大学を目指して浪人をしたり、転職活動で苦労したり、いろいろな挫折を経験してきました。大変でしたけど、自分のやりたいことを選んでいくことって大事だなということに気付けたのは良かったですね。
「どうやって生活していけばいいんだろう…」と不安に思っていた人生が、フリーランスという当時の自分が想像してなかった働き方ができたこと、自分の好きなことややりたいことを遠慮せずに話せる人たちとの出会いやご縁のおかげで、人生をとても前向きにに考えられるようになりました。
「失敗したら終わりではなくて、選んだことを少しずつ正解にしていけばきっと大丈夫。自分が理想とする生活や未来を誰もが遠慮せずに話せるようになれば、もっと楽しく優しい社会になるんじゃないかと思います。
−フルカワさんのように毎日前向きになるにはどうしたら良いですか?
私自身、常に前向きではなく、基本はネガティブな方だと思います。だからこそ、気持ちを上げるために一日ひとつでも「ハッピーだな!」と思うことをやることですね。美味しいものを食べるとか、きれいなものを見るとか、どんなことでも良いので、自分が一日一瞬でもハッピーになることを見つけてほしいです。
私は自分の思い通りに進捗していないと、楽しいことをすることにすごく罪悪感を感じます。私だけではなく、そう思う人は一定数いるんじゃないかと思うんです。
でも、それって結局「しんどい」の積み重ねになってしまうので、我慢し続けて病気になったりするんじゃないかなと。
そうやってしんどい思いをするくらいなら、積極的に楽しいことをやった方が良いですよね。一日ひとつハッピーになることをする、一ヶ月できたら30ハッピーになるじゃないですか。ハッピーはどれだけ積み重ねても良いんですよ。明日は明日の風が吹く、きっと大丈夫ですから。
編集者・堀江の一言
大学受験や就職活動など、幾多の苦難を乗り越え、自らの手で人生を切り開いてきたフルカワさん。いつも明るく可愛らしい方ですが、その内には粘り強く前へ進む格好良さを感じました。
思いもよらないきっかけでライターになり、当初は興味のなかったフリーランスという働き方を選びながらも、自分の選んだ道を「正解」にしていく姿は、私たちも見習いたいものです。
これからどれだけのハッピーを積み重ね、ご自身の人生をさらに豊かなものにしていくのか、本当に楽しみです。
フルカワカナコさん、ありがとうございました!
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