飲食での独立は他のサービスに比べて簡単に見えるが、初期投資も掛かるため成功率は低い。経済産業省が発表した「中小企業白書」によれば、起業1年目の廃業率が40%、2年目が15%、3年目が10%。
店舗や機材、レイアウトに必要なイスなどの家具、食器など用意しないといけないものも多いことが大きな初期投資を招く。さらにお客さんに喜んでもらうために、商品のラインラップも揃えておきたいところだ。
どんな事業でも共通するところだが、開業する前に十分な準備が必要だ。その準備を揃えてくれるのがフランチャイズではあるが、売り上げや品揃えなど監視され指示されることが多く、売り上げに応じてロイヤリティーも取られる。そうなると、自分のお店ではなく他人のお店に雇われているのとあまり変わらない。
ただ、フランチャイズにすると、既にブランドが付いているのでお客さんも利用しやすく、宣伝費に多くを費やす必要がない。商品や味も決まっているのでお客さんも安心する。オリジナル店では、常連やクチコミで人気を広げるのに時間が掛かるところに時間が掛かる。
フランチャイズ × オリジナル店
それぞれのメリットを活かしてサービスを展開できないかと考えたのが、淡路島カレーを展開する株式会社ビープラウドだ。
これは淡路島カレーのフランチャイズ契約を結んだ時の費用だ。最初にライセンスフィーと保証金で77万円になるが、月々の売り上げに応じたロイヤリティーは発生しない。月々の加盟料として1万円は掛かるが、ほぼランニングコストは掛からず、初期費用のみで看板商品ができる。
しかも、屋号やお店の形態、業種について一切の縛りはない。カレーソースのみの提供だからだ。そのカレーソースの味さえ変えなければ、メニューのアレンジも店舗に任せている。フランチャイズではあるが、自由にお店を展開することができる。
77万円となると多額に思うが、淡路島カレーの平均価格や800円ほど。売上数量にすると約963人前になる。年間300日経営した時、1日あたり3.2人前となる。このように考えると難しいとは思わないのではないだろうか。備品や食器がなければ、販促費も含めて17万円で用意してくれる。これで開業前に係る負担が究極に下がる。この結果、加盟店募集開始からわずか2年間で100店舗を突破と圧倒的な展開スピードを記録している。
看板商品にもなるカレーのこだわり
開発部長である大竹氏が、この淡路島カレーの開発に至るまで研究のため200食ものカレーを食べ歩いた。ここで人気店の味に共通点を見つけた。二段階の味の変化だ。これを基に、もっと美味しいカレーを作るべく、味を3段階の変化させることにした。
その味のこだわりに必要だったのが、淡路島名物の玉ねぎだ。淡路島の玉ねぎは、他に比べて甘みが2倍になる。淡路島にある農家さんから直接仕入れているため、厳選された品が安定して仕入れることができる。他にもマンゴーやバナナなど9種類の野菜、たっぷりの香味野菜も使っている。また、厳選した唐辛子と16種類のスパイスを使い、ブレンドの順番や配合にもこだわっている。これにより「味・コク・辛味」の味の変化を可能にした。
まとめ
現在、店舗を全国に200店舗以上展開している淡路島カレー。2015年末には300店舗を目指していると代表の大山淳氏は語る。この淡路島カレーを展開しているビープラウド社の理念は「関わる人すべてに夢の上書きをする」とあり、食を通じて経営者を育成することをモットーにしている。
おそらく、ビープラウド社はこのノウハウを持っていれば、カレー専門店を独自で出店することも可能であろう。しかし、目先の利益やブランドを広めることだけではなく、フランチャイジーの幸福も考え導入しやすいシステムを構築する新しいフランチャイズを作った。
既存のやり方やシステムをそのまま導入するのではなく、一度そのシステムのメリットとデメリットを考えてから経営戦略を練ることも大事である。言うまでもなく、デメリットやリスクを最小限にすることは経営において必要な作業だ。
デメリットやリスクを考えた上で、既存のシステムを自分のプラスになるように利用するにはどうすればいいのか。これを考えるのが経営者の仕事だ。